新しく迎えた子猫が先住猫を追いかけ回したり、しつこく飛びかかったりする姿に困っている飼い主さんは多いです。元気いっぱいな子猫と静かに暮らしたい先住猫の間でトラブルが起きないよう、心理的な理由を理解して、お互いが心地よく過ごせる環境を整えてあげることが大切です。
子猫が先住猫にしつこいのは遊びたい気持ちが強く距離感を学び途中だから起きやすい
子猫の行動は悪意があるわけではなく、すべてが「成長のための練習」です。しかし、受け入れる側の先住猫にとっては、自分のテリトリーをかき乱す大きなストレスになり得ます。まずは、子猫がなぜそこまで執着するのか、そして先住猫がどのような心境でいるのかを整理して考えてみましょう。
子猫は遊びの練習で飛びつきや追いかけが増えやすい
子猫期は、将来の狩猟に必要なスキルを磨くための「社会化期」という重要な時期にあたります。本来であれば兄弟猫同士で噛みついたり、取っ組み合ったりすることで「これ以上はやったら痛い」「これ以上しつこくすると嫌われる」といった猫同士のルールを学びます。しかし、新しい家に来た子猫にとって、その唯一の練習相手は先住猫になります。
子猫にとって先住猫は、憧れの存在であり、最高の遊び相手です。動くものすべてに興味を示す時期でもあるため、先住猫のしっぽが揺れたり、少し動いたりするだけで、狩猟本能が刺激されて飛びついてしまいます。子猫はまだ自分の体力が尽きるまで遊ぼうとするため、相手が疲れていることや嫌がっていることを察する能力が未熟です。この「遊びの練習」が、先住猫にとってはしつこい攻撃のように見えてしまうことが多々あります。
先住猫は落ち着いた生活が乱れてストレスになりやすい
成猫になった先住猫は、一日の大半を寝て過ごしたり、決まった場所でくつろいだりといった「ルーチン化された静かな生活」を好みます。そこへ予測不能な動きをする子猫が加わることは、先住猫にとって精神的にも肉体的にも非常に大きな負担となります。特に、リラックスしている最中にいきなり飛びかかられたり、お気に入りの寝床を占領されたりすることは、大きなストレスに直結します。
ストレスが蓄積すると、先住猫は自分の身を守るために威嚇したり、反対に部屋の隅に隠れて出てこなくなったりします。重度のストレスは免疫力の低下を招き、食欲不振や下痢、特発性膀胱炎といった体調不良を引き起こす原因にもなります。先住猫が子猫に対して唸ったり「シャー」と言ったりするのは、「これ以上近づかないで」という正当な意思表示です。飼い主さんは先住猫の心の平穏を守ることを最優先に考え、彼らがこれまでのペースを維持できるように配慮する必要があります。
逃げ場が少ないとしつこさが長引きやすい
部屋の構造が平面的で逃げ場が少ない場合、子猫のしつこさはエスカレートしやすい傾向にあります。先住猫が子猫を避けて移動しても、すぐに視界に入ってしまう環境では、子猫はすぐに追いかけてしまいます。先住猫が「一人の時間」を持てないことが、二頭の間の緊張感を高める大きな要因となります。
猫は垂直方向の移動が得意な動物ですので、キャットタワーや棚の上など、子猫がまだ登れない高い場所や、先住猫だけが知っている隠れ場所が必要です。高さのある避難場所があれば、先住猫はそこから子猫を観察し、安全を確保しながら少しずつ心の準備を整えることができます。また、子猫が入れない隙間や、別の部屋への自由なアクセスが確保されていないと、先住猫は追い詰められたと感じて攻撃的になり、関係修復に時間がかかることもあります。
叱るより環境調整で接触時間を減らすのが効果的
子猫がしつこくした際、大声で叱ったり叩いたりすることは絶対に避けてください。子猫は叱られた理由を理解できず、単に「飼い主さんが怖い」と学習してしまいます。また、叱られることが刺激となり、さらに興奮して先住猫へ向かってしまうこともあります。子猫のしつこさを解決する最も有効な方法は、人間の指示ではなく「物理的な環境調整」です。
具体的には、お互いの姿が見えないようにケージを活用したり、部屋をフェンスで仕切ったりして、接触する時間を飼い主さんの管理下に置くことです。しつこさが始まったら一度離す、あるいは遊びの時間を完全に分けるといった工夫をしましょう。子猫のエネルギーが落ち着くまでは、24時間一緒に過ごさせる必要はありません。「少し遊んだら離れる」というサイクルを繰り返すことで、先住猫のストレスを軽減しつつ、子猫も徐々に落ち着きを取り戻していきます。
子猫のしつこさ対策に役立つおすすめアイテム
子猫の有り余るエネルギーを分散させ、先住猫のプライバシーを守るためには、便利なグッズを賢く活用しましょう。環境を整えるだけで、飼い主さんの仲裁の手間も大幅に減らすことができます。
| アイテム名 | 特徴 | 公式サイトURL |
|---|---|---|
| フェリウェイ(リキッド) | フェロモン成分で猫の緊張を和らげ、多頭飼いのストレスを軽減する | https://www.feliway.com/jp |
| リッチェル 木製お掃除簡単ペットサークル | 物理的な仕切りとして優秀で、子猫のクールダウン場所に最適 | https://www.richell-shop.jp/ |
| Mau キャットタワー | 高さがあり、先住猫が子猫から逃れて休息できる安全な場所を作れる | https://www.mau.cc/ |
| 猫用電動おもちゃ「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」 | 自動で動くため、子猫の注意を先住猫から逸らすことができる | https://www.necoichi.co.jp/ |
| サンコー 折り曲げ付階段マット | 追いかけっこ時の足音や滑りを防ぎ、お互いの怪我を防止する | https://sanko-gp.co.jp/ |
| 猫用トンネル | 子猫の隠れ場所や遊び場所になり、追いかけのエネルギーを分散する | – |
| アイリスオーヤマ キャットケージ | 多頭飼いの初期導入や、夜間の隔離に役立つ頑丈なケージ | https://www.irisohyama.co.jp/ |
これらのアイテムを適切に配置することで、先住猫は「守られている」という安心感を得ることができ、子猫は健全な方法でエネルギーを発散できるようになります。
先住猫が嫌がる前にできる接し方と住まいの工夫
二頭の関係が悪化しきる前に、飼い主さんが介入してルールを作ってあげることが重要です。先住猫に「子猫が来ても自分の地位は揺るがない」と確信させ、子猫には「先住猫以外にも楽しいことがある」と教えるのが基本の接し方になります。
子猫の遊び時間を増やして先住猫への集中を減らす
子猫が先住猫にしつこくするのは、単に退屈しているからです。先住猫を遊び道具にさせないためには、飼い主さんが子猫の遊び相手を積極的に務める必要があります。一日数回、15分程度の集中した遊び時間を設け、猫じゃらしやボールなどを使って、子猫が息を切らすくらいまで思い切り運動させてあげましょう。
子猫が十分に満足して疲れていれば、先住猫を追いかけ回す体力も残らず、おとなしく寝てくれるようになります。「子猫が起きたらまず飼い主さんと遊ぶ」という習慣をつけることで、子猫の興味の矛先を先住猫から飼い主さんや自分のおもちゃへと移すことができます。子猫の狩猟本能を遊びの中で健全に発散させてあげることが、先住猫を守るための最も具体的で効果的な防衛策となります。
先住猫の食事とトイレは守って安心感を保つ
多頭飼育において、食事とトイレは猫にとって最も重要でデリケートな場所です。ここを脅かされると、猫は強い不信感を抱きます。食事は必ず先住猫から先にあげ、場所も可能な限り離しましょう。子猫が先住猫の皿を覗き込んだり、横取りしたりしないよう、飼い主さんがしっかりとガードしてください。
トイレについても、理想は「猫の頭数+1」の数を設置し、場所を分散させることが大切です。先住猫が用を足しているときに子猫が襲いかかるようなことがあれば、先住猫はトイレに行くのが怖くなり、排泄を我慢して病気になるリスクがあります。トイレ中の無防備な時間を邪魔されないよう、場所を工夫したり、仕切りを設けたりして、先住猫のプライバシーを徹底的に守る配慮をしましょう。
接触は短時間からにして徐々に慣らしていく
二頭を会わせる時間は、最初は5分から10分程度の短い時間から始めましょう。飼い主さんがそばにいて、状況をコントロールできるときだけ対面させます。良い雰囲気で過ごせているうちに中断して引き離すのが、成功のコツです。「もう少し一緒にいたい」と思うくらいの段階で終わりにすることで、次回への期待感と良い印象を残すことができます。
もし、対面中に子猫がしつこくし始めたら、即座に子猫を抱き上げて別の部屋へ移すか、ケージに入れます。このとき、叱る必要はありません。ただ淡々と「しつこくしたら遊びは終了」という状況を作ります。これを繰り返すことで、子猫も次第に「先住猫に対しては穏やかに接しなければならない」という距離感を学んでいきます。焦らず、数週間から数ヶ月単位のスパンで、お互いの許容範囲を広げていきましょう。
先住猫が唸る・隠れるなら一度距離を戻して調整する
先住猫が子猫に対して激しく唸る、あるいは一日中ベッドの下から出てこないといった反応を見せる場合は、現在の距離が近すぎるという警告サインです。無理に同じ部屋にいさせ続けると、関係が修復不可能なほど悪化する恐れがあります。このようなときは、迷わず一度「完全分離」の生活に戻しましょう。
数日間、ドア越しに気配を感じさせる程度の距離感に戻し、お互いのにおいがついたタオルを交換するなどして、間接的な交流から再スタートします。先住猫の様子が落ち着き、食欲が元通りになってから、改めて慎重に対面を試みてください。猫同士の関係に「正解」はありませんが、先住猫の心の平穏を第一に尊重することが、最終的に二頭が同じ空間で眠れるようになるための最短ルートです。
子猫が先住猫にしつこいときのポイントまとめ
子猫のしつこさは、成長に伴う自然な好奇心とエネルギーの表れですが、先住猫にとっては大きな試練です。飼い主さんが子猫の遊び相手を積極的に務め、エネルギーを正しく発散させてあげることで、先住猫への負担を大幅に減らすことができます。
また、キャットタワーなどの高い避難場所や、ケージ・ゲートを用いた物理的な距離の確保も非常に有効です。食事やトイレといった先住猫の聖域を守り、「先住猫ファースト」の姿勢を徹底しましょう。焦らず、短時間の接触から少しずつ慣らしていくことで、時間はかかってもお互いの適切な距離感が見つかるはずです。二頭が穏やかに共生できるよう、愛猫それぞれのペースに寄り添いながら見守ってあげてください。“`
